従来、部分床義歯を製作する際、クラスプの位置は目測で決定していた。しかし、術者の経験によるところが大きく、出来上がった義歯のクラスプが口腔内でつかえてしまい、装着できないことも少なくなかった。
そこで、術者の“長年の勘”によらずにクラスプの位置を決定することができるよう開発されたのがサベヤーである。
サベヤーの使用目的は主に
・義歯の着脱方向の決定
・鉤歯や歯肉部へのサベイラインの描記
・アンダーカット量の計測とクラスプ先端位置の決定
・鉤歯のブロックアウト部のワックスの削除
の4つであり、機種は以下の3種のほか、振り子型と呼ばれるものがある。
・アームが固定式で雲台が可動式のタイプ
・アームが可動式で雲台が固定式のタイプ
・アーム、雲台ともに可動式のタイプ
![]() 中原式下顎運動性咬合器(1916年) 日本歯科医学専門学校(現・日本歯科大学)の創始者である中原市五郎氏は1914年に半調節節性の咬合器(中原式咬合器)を考案した。その後、Gysiとの意見交換の末、本製品を完成させた。 |
![]() 矢崎式咀嚼運動器(1930年) 矢崎正方氏によって開発された。咬合器ではなく「咀嚼運動器」と命名したのは、矢崎氏が提唱した咀嚼運動理論および咬頭展開角説に基づく器材だからである。(田端義雄氏[埼玉県本庄市/田端歯科医院]所蔵) |
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![]() 沖野式咬合器(1936年) 日本人の頭蓋や顎の解剖的計測値などに基づいて沖野節三氏が考案した咬合器。本製品発表後も沖野氏の臨床成果を反映した改良型が製作された。 |
![]() 坪根式咬合器(1949年) 総義歯用の咬合器として坪根政治氏により開発された。その後、坪根氏は1953年に間接部の一部 を改良したTypeUを発表。1966年には間接部、切歯指導部および顔弓の一部を改良したTypeVを発表した。(阿部羅直明氏[北海道釧路市/エヌ・エ・デンタルラボセンター]所蔵) |
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![]() 堀江式咬合器(1958年) Gysiの下顎運動理論に基づいて堀江_一氏が考案した咬合器。顆路指導部の中にスプリングが取り付けられており、自由運動を行う付属の堀江式リッジ・サベヤーによって石膏模型に記入した正中線を咬合器に正中に一致させることにより、咬合器上に正中線を再現できる。 |