硬質レジン
レジンの歴史
レジンが歯科材料として応用されたのは、義歯床が始まりである。それまでは床用材料としては蒸和ゴムが用いられていたたが、操作性で優るレジンが登場すると、広く普及していった。その後、1937年にMMA(メチルメタクリレート)レジンの『パラドン』(Kulzer.現・Heraeus Kulzer)が販売されると、レジン歯前装鋳造冠の材料として応用され始めた。その後、前装鋳造冠の材料としてのレジンは咬耗や吸水の問題、操作性の改善を繰り返しながら進歩していった。この頃は、削合したレジン歯に合わせてワックスアップを行い、フラスコに石膏で埋没した後、流蠟して歯冠用レジンを填入・加圧重合していた。現在、一般的に使用されている硬質レジンの工程と大きく異なるのは、この埋没の操作であろう。MMAレジンは沸点が100.8℃であり、常温では揮発するため、埋没の工程が必要である。また、加圧しなければ気泡が混入してしまうので、やはり埋没操作が必要であった。
硬質レジンの歩み
1960年代
歯科用としてのMMAレジンは、義歯床用、歯冠用など幅広い用途に合わせて開発・改良が進められてきた。粉成分はいまだPMMA(ポリメチルメタクレリート)であったが、モノマー成分がMMAから架橋構造を持つ多官能性のモノマーに変わったことで、耐摩耗性が向上した。また、操作性の面でも、沸点の高いモノマーを使用することにより、MMAの発揮を考慮する必要があったこれまでのフラスコ埋没法から、粉液を混合して直接確認しながら、築盛できる手法に変わっていった。

1970年代
この時代では、耐摩耗性を向上させるために、PMMAではなく無機質フィラーと有機質複合フィラーを使用した新しい硬質レジン『イソシット』(Ivoclar.現・Ivoclar Vivadent)が登場した。その後、日本においても同製品に類似した人工歯材料としての硬質レジンが発売された。

1980年代
1980年代に入ると、新たに光重合型の硬質レジンが次々と開発され、これまで加熱が必要であった重合操作を常温で行えるようになった。
現在、多くの硬質レジンの組成は、多官能性モノマーと各種フィラーを組み合わせたハイブリッドタイプの製品が広く扱われている。
表 各年代における主なレジン
ダイヤモンドDセット、愛歯科技工専門学校では、アメリカのアコム社と連携し、国内で初めてとなる耐摩耗性レジンの本製品を利用し、形態修正を施した、色調再現性に優れているこのレジンを「硬質レジン」と名付けた

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