レーズとロール
研磨機(レーズ)

(1)足踏み研磨機(足踏みレーズ)
小型の作業台(研磨台)とホイールとペダルが取り付けてあり,足踏みエンジンと同じように,ペダルを踏むことによって動かす仕組みになっている。次に紹介する電気研磨機の登場によって表舞台から消えていった。

(2)電動研磨機(電気レーズ)
1926年,近藤電気が初の国産電気レーズを制作したが,普及するには至らなかった。その後,多くの工業製品の電化が進んだ1934年以降にモリタやヨシダなどが電気レーズの制作を開始。質・量ともに充実した供給を実現し,完全な国産化を果たした。
電気レーズには,さまざまな形があるが,回転速度が低速(1,750〜16,000rpm程度)と高速(3,500〜28,000rpm 程度)に分かれている2段切り替え型のものが多い。電気レーズは電気エンジンと同様,堅牢で長時間の使用に耐えうる優秀なモーターである。

圧延機(ロール)
板加工時代の代表的な補綴物に嚼面圧印金属冠(モリソン金冠)がある。これは1869年にMorrison氏によって発表され,支台としたサンプラ板ブリッジとともに昭和30年代まで歯冠修復の主流であった。ロールはこのような補綴物制作の際,金属を圧延する,つまり金属板を薄くする工程で使用する道具であり,手廻し式のロールと電動モーター式のロールとがあった。
足踏みレーズ
大小の国産レーズ(DENKOSHA ELECTRIC  WORKS製 )
レース本体にアームが取り付けてあり、ハンドピースが連動し、エンジンとしても使用できる
昭和初期のロール (本製品は金の板を薄く延ばすためのものである)
圧延ロール (歯車の大小にも合理的に力量がかかるように工夫されている)
電動ロール (電気化することで手動のロールに比べ延展ムラが少なくなったようである)